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調査•評論•提言

自民党本部の使途不明金
党本部の「組織活動費」「政策活動費」名目の支出、高額な使途不明金

2017.03.17

 政党交付金(税金)を受け取っている政党、特に自民党本部は、幹事長などの一部の国会議員個人に対し「組織活動費」・「政策活動費」名目で寄附しており、それが、最終的にいつ、何の目的で、誰に対し、支出されたのか、どこにも報告されていないという重大な問題があります。
 この使途不明金の金額は以前85億円超だったとき(2000年)もありましたが、2009年総選挙で敗北し、政党交付金も減らしたため、「政策活動費」の金額も減らしたものの、2014年は16億円近くもあり、まだまだ高額であることに変わりはありません。11月末に公表された2015年分政治資金収支報告書でも、その支出計12億3920万円が確認されました。

表1 自民党本部から2015年に政策活動費を受け取った国会議員リスト

以下、この問題を少し詳しく取り上げて、論評しましょう。

2000年前後の自民党本部の「組織活動費」名目の支出

 自民党本部は「組織活動費」名目で、衆議院総選挙のあった1996年は約74・3億円、1997年は約28・9億円、参議院通常選挙のあった1998年は58・5億円、1999年は約48億円を、各国会議員に対し支出した旨、各政治資金収支報告書に記載していました。
 かつて市民団体が2004年までを調査したところによると、自民党本部が各国会議員に対し支出されていた「組織活動費」は「政策活動費」として名称を変更して継続されており、2000年は合計約85億円、2001年は合計約58・2億円、2002年は45・6億円、2003年は合計73・1億円超、2004年は合計34・4億円超でした。

表2 2000年前後の自民党本部の「組織活動費」「政策活動費」名目の幹事長らへの寄附


近年の自民党本部の「政策活動費」名目の使途不明金

 2009年衆議院総選挙で敗北し、政党交付金が減額されたため、その後は、「政策活動費」名目の支出額は少なくなっていますが、いまだに「政策活動費」名目の支出は続いています。
 自民党が下野していた2010年は、7億7900万円。そのうち、1月から7月21日(参議院通常選挙)までに当時の自民党幹事長であった大島理森議員に3億8550万円、尾辻秀久議員には5月31日一度に6000万円、河村建夫議員には5月13日から6月30日にかけて計1150万円など9名の議員に合計5億1800万円が交付されていました。
 2011年は、前年に参議院通常選挙で勝利し、受け取った政党交付金が増額されたこともあって、「政策活動費」名目の支出は、国政選挙がなかったのに5000万円近く増え、5億6670万円。そのうち、幹事長だった石原伸晃衆議院議員は計3億4750万円を受け取っていました。
 12月の総選挙で政権復帰した2012年には総額は4億円増えて9億6510万円。そのうち、安倍晋三総裁は、2012年衆議院総選挙直前に「政策活動費」名目で計2億5000万円(11月13日、24日、26日、30日、12月11日と5回に分けて5000万円ずつ)を党本部から受け取り、また当時の石破茂幹事長も「政策活動費」として計2億6000万円を受け取っています。そのほか、前幹事長の石原伸晃議員は、2億780万円を受け取っていました。
 2013年は、さらに3億円余り増え、12億9000万円余り。そのうち、当時の石破茂幹事長は10億2710万円を、さらにそのうち、1月から7月21日(参議院通常選挙)までに計7億6000万円を、受け取っていました。
 12月の総選挙でも勝利した2014年も、さらに3億円余り増え、15億9260万円に上り、そのうち、旧幹事長の石破茂議員に5億1140万円、新幹事長の谷垣禎一議員に8億590万円が寄付されていました。同年11月21日に衆議院が解散され(同年12月2日公示)、12月14日に総選挙の投開票が施行されましたが、自民党本部は11月21日から12月14日までの期間に限定しても谷垣禎一幹事長に計4億7500万円の「政策活動費」を支出していました。
 2015年は、国政選挙がなかったこともあってか、その金額は少し減少していますが、それでも、22名の国会議員に対し「政策活動費」名目で計約12億4000万円。そのうち、谷垣禎一幹事長に対し計7億880万円、茂木敏允選挙対策委員長に1億5550万円を、それぞれ支出していました。
 2010年から2015年までの総計金額は64億3340万円。

表3 2010年から2015年の自民党本部の「政策活動費」名目の幹事長らへの寄附


自民党本部は突出して高額

 以上の自民党の手口は、元自民党幹事長を務めていた小沢一郎氏が党首になっていた新進党、自由党、民主党にも受け継がれました。
 自民党の場合と新進党・自由党・民主党の場合との違いは、前者が大勢の国会議員に配布して総額が高額であるのに比べ、後者は極少数の国会議員に高額を配布していることです。また、他党でも、同様に「組織活動費」「政策活動費」名目でも国会議員個人への支出を行っている政党があります。
 もっとも、自民党の支出額は、他党の場合と比べても、異常に高額です。
 例えば、他党で最高額は民主党で、2013年も2014年も2億5000万円超ですが、2015年は1億円を下回り8750万円にとどまっています。
 他党は2015年に限定して紹介すると、「生活の党と山本太郎となかまたち」は6500万円、社民党は1160万円、「日本のこころを大切にする党」は約1028万円、新党改革は200万絵、政党交付金を受け取っていない共産党は75万円。公明党などは、その種の支出はありません。

政治資金規正法の違法な運用で使途不明金に!

 以上紹介した「政策活動費」が使途不明金になっているのは、政治資金規正法の不備・欠陥が原因ではなく、むしろ同法が誠実に遵守されず、違法な運用がなされた結果なのです。
政治資金規正法は、何人も国会議員などの「公職の候補者」自身に対し政治活動に関する寄附をすることを原則として禁止しています(第21条の2第1項)。
 これには例外があります。一つは、その寄附が選挙運動に関する寄附の場合です(同法第21条の2第1項のカッコ内)。この場合は、その寄付者が誰であれ、公職選挙法が選挙運動費用収支報告書にその寄附を収入として記載することを義務づけています(第189条)。
 もう一つの例外は、寄附を行ったのが政党である場合です(政治資金規正法第21条の2第2項)。そこで、自民党本部は「政策活動費」名目で幹事長ら「公職の候補者」に寄附を行っているのです。
 問題はここからです。同法は、国会議員ら「公職の候補者」のために政治資金の拠出を受ける政治団体である「資金管理団体」を認めています(第19条第1項)。ですから、国会議員個人が政党本部から受け取った寄附は、この「資金管理団体」の政治資金収支報告書に収入として記載されるべきなのですが、政界では、記載する必要はないという解釈・運用がなされています。つまり、党本部から受け取った議員は「政策活動費」を自己の「資金管理団体」で一切収支報告しないため、実質的な税金である政治資金が使途不明金になっているのです。言い換えれば、ポケットマネーになっていなければ、政治や選挙の裏金になっているわけで、政治資金の透明化を要求している政治資金規正法の趣旨に明らかに反します。

法律改正で禁止すべき!

 市民団体が2000年に自民党本部に対し公開質問状を出し、その回答を受け、その後、当時の自民党幹事長で会計責任者だった森喜朗衆議院議員を政治資金規正法違反容疑で刑事告発しましたが、不起訴になりました。
 また、自民党が高額な「政策活動費」名目の使途不明金を止めず、違法な運用を改善しませんので、他政党も改善しません。
 ですから、この点で政治資金規正法は改正されるべきです。公職選挙法で選挙運動費用収支報告される選挙運動資金としての「公職の候補者」への寄附の場合を除き、どのような名目であれ、政党が国会議員ら個人に対し寄附することは禁止されるべきです。

※本評論の筆者は上脇博之(神戸学院大学法学部教授)であり、同人の個人的見解です。本法人の公式見解ではありません。

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